母親がワクチン接種により免疫を獲得している群では、感染が伝播しやすい!ドヤ!
J Infect Dis. 2013 May 8.
Waning of Maternal Antibodies Against Measles, Mumps, Rubella, and Varicella in Communities With Contrasting Vaccination Coverage.
PMID: 23661802
MMRは世界中で既に20年以上にわたって接種されている。(なぜか日本は取り残されているのだが、それはまた別の話)
この文献は、オランダで2006-2007年にかけて行われた大規模サーベイの結果である。
すると、ワクチン接種群の子どもたちのほうが、移行抗体による防御期間が短い(麻疹で3.3ヶ月、ムンプス2.7ヶ月、風疹3.9ヶ月、水痘3.4ヶ月)という結果であった。
麻疹の防御期間は、ワクチンを接種しなかった群の方が2ヶ月長い。
ワクチンを接種している群で、感染が伝播する危険性が高いと、この文献は言う。
えっ・・・?
※コメント
自然感染の方が抗体が高くなりやすいので、子供への移行抗体の濃度も高くなる。ここはよく分かる。そのとおりだと思う。
ワクチン接種群の子どもたちで感染症が伝播しやすいから気をつけよう、っていうのがこの論文の結論なのか?ここがよくわからない。
どう考えても自然感染群の方が流行規模が大きくなる。
移行抗体の防御期間がおわれば丸腰になるのはどちらも同じである。その期間が2ヶ月長かろうが、その後の人生は抗体なしで始めるのだ。ワクチン無しで生きれば、いつかは罹患する。
ワクチンなしのコミュニティでは、そうやって罹患するひとが結局後をたたないので、大規模流行が繰り返しつづく。いくら新生児期に長めに移行抗体をもっていようが、そんなの関係ない。罹患する子供はなくならない。
いっぽう、ワクチン接種群は、いつか疾患をコミュニティから除去できる。移行抗体の期間が多少短かろうが問題ないんじゃないの?ウィルスが居ないんだから。流行は大規模になりようがない。
この「コミュニティからのウィルス除去」ができなければ、ワクチン接種群の子どもたちのほうが、どちらかと言えば危険だ、といわれれば、それはそうかもしれない。
だが待ってほしい。その「ウィルス除去」という目標をもっとも邪魔しているのは何か?
それは、「ワクチンをせず自然に感染したい」人たちである。