simbelmynë :: diary

小児科医療 & 趣味はコンピュータいじりです

HPVワクチンの副反応?に対する報道(2016/3/16)についての物言い

(いろいろと読み解いてみましたが、もし間違いがあったら指摘してください!)

2016/6/21追記

この記事を書いた時はかなり慎重な態度をとりました。池田班の発表はスライドを見る限り信ぴょう性に乏しいのですが、断言はしませんでした。また、統計の誤りについては報道側の誤解ではないか、という表記をしました。自分はこの発表会を直接聞いておらず、そこまでの断定ができなかったためです。

また、疑わしいとは思いつつも、池田教授がまさかこんな、あからさまで、だれが見ても分かるような、誤った統計によるミスリードを狙ったり、研究結果を自分の出したい結論にあうように部分抽出する(チェリーピッキング)を行うとは思いがたい、そうではないと思いたかったからでもあります。

その後、Wedge様にてこのような記事が出たり、
子宮頸がんワクチンと遺伝子 池田班のミスリード 利用される日本の科学報道(前篇) WEDGE Infinity(ウェッジ)

子宮頸がんワクチン「脳障害」に根拠なし 誤報の震源は医学部長 利用される日本の科学報道(中篇) WEDGE Infinity(ウェッジ)

あまつさえ、今回このような記事が出たりするにあたり、
子宮頸がんワクチン薬害研究班に捏造行為が発覚 利用される日本の科学報道(後篇) WEDGE Infinity(ウェッジ)

記事の内容が正しいとすればですが、これは報道側の誤解というより、池田班側の科学的犯罪という印象が濃厚となってきました。子宮頸癌を防ぐ方法に間違ったレッテルを貼り普及を妨げることは、将来多くの人命を失わせる結果に繋がります。それがわかっていてなお、自分の誤りを認められず、意図的な編集を加えたスライドで印象操作を行ったとすれば、これはたいへん悪質だと言わざるを得ません。

具体的にどのような研究不正が行われたかについては、宮川剛先生のこのtweetに始まる一連のお話が、参考になると思います。



この記事を書いた時点での私の慎重な認識が残念なことに覆されたことを追記します。

もちろん、この誰でも見抜けるようなちゃちな科学的犯罪を見抜けず、大騒ぎをして間違いを市中に広めてしまった、各報道機関の責任はいずれ追求されてしかるべきであろうと思います。

追記終わり。




子宮頸がんワクチン副反応「脳に障害」 国研究班発表(TBS)
http://news.tbs.co.jp/newseye/tbs_newseye2727277.html

3月16日、こんなニュースが報道されました。各局、各新聞、ほぼ同様の内容を横並びで報道しています。

これは同日、厚生労働省にて開催された「ヒトパピローマウイルス感染症の予防接種後に生じた症状に関する厚生労働科学研究事業成果発表会」での発表を受けてのものです。

このようなタイトルで報道されると、一般の人は「ええっ」と思いますよね。自分もちょっと驚きました。なにか、HPVワクチンの副反応に明確な原因や、疫学的な根拠が示されたのかと思いました。ですが、その後ツイッターのタイムラインを見ていると、どうもそうではなく、2つの意見の発表があって、そのうち(同意する専門家の少ないほうの)片方だけがセンセーショナルに報道された、ということのようでした。

専門家の間ではとてもそうは思われない、同意する専門家が少ないような意見であっても、報道でそれが増幅されると、一般の方にはそれがまるで真実であるかのように伝わってしまいます。自分はたまたま医学の分野で仕事をしていますから、この報道がナンセンスだとわかりますが、他の分野で同じようなことがあれば見抜けないかもしれません。しかしこの問題は、比較的若い女性、例えば小さい子供を持つ母親、が癌で亡くなるケースを如何に減らすかという問題に直結するわけですから、このような発表と報道には多少の感情も含みつつ、説明を試みたいと思います。

2つの発表のスライドは以下で公開されております。
ヒトパピローマウイルス感染症の予防接種後に生じた症状に関する厚生労働科学研究事業成果発表会審議会資料 |厚生労働省

なお、すでに大御所青木先生&毎日いんふぇくしょん編集部様のご解説もありますので、そちらも御覧ください。
HPVワクチン 接種後体調変化の報道 と その周辺 2016年3月 - 感染症診療の原則

どのような発表があったのか

この発表会ですが、まず「発表会であること」に留意してください。真実を発見したわけではありません。
1 池田修一先生(他8名)のグループ
2 牛田享宏先生(他40名以上)のグループ
です。

このうち、報道されたのは1のグループの方の内容で、2は報道には殆ど入っていないと思います。1のグループの発表内容がどのようなものであったか、詳しく見てみます。

池田修一先生のグループの発表内容

大きくわけて以下の様な部分にわけられます。

  • 信州大学を受診した副反応を疑われる123例の要約 5例の症例報告を含む
  • 副反応を呈しやすいHLA型(白血球の血液型)があるのではないかという話
  • モデルマウスを作成した話

これらをすこし詳しく見て、なぜ私がそして多くの一般の医師が「これはちょっと・・・」と感じるのかを、説明できればと思います。

症例要約、症例報告の部分

123例のうち、副反応を否定できなかったのが98例だそうです。
その98例の主な症状が、以下のようにまとめられていました。
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そして、それらの症状が、HPVワクチン接種からどれくらいの期間が空いて発現したのかを示したのが以下の表です。
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なるほど、確かに接種後に多彩な症状が起きていますが、これらはこの年齢(10〜15歳)の時期だとよく見られる症状です。実際、私も外来でこれらの症状を呈する患者さんを診察し、対応することがよくあります。
ですから、(この手の話では本当によくいわれることですが)「接種していない人たちにはこれらの症状がどれくらいの頻度で発症してるけど、接種した人たちではそれがこんなに増えたよ!」という比較のデータが必要ですよね。それはなかなか手間とお金がかかることなので、例えば、「症状が出て受診した人たちと、たまたま、偶然、他の症状で病院を受診していた同じ年齢性別の患者さんとで、HPVワクチンを接種していた率がこんなに違いましたよ!」という比較でも、初期は許されます。


報道内容からして、そんなデータが得られて発表されたのかと私は思いました。だからちょっと驚いたのです。しかし発表内容をみるとどうもそうではありません。ただ症状が出た人たちについて羅列があるだけで、HPVワクチンが原因であると推定する根拠はありません。

ここで私はまず報道側に抗議したいです。この発表内容でHPVワクチンと症状を結びつけることはできないはずですが、それは報道する側もわかっているはずです。それなのに、まるで関係性が明らかであるような内容で報道するのは、(この点については後述しますが)悪魔の所業といって良いと思います。

第二に、発表されたグループにも言いたい。当然、HPVワクチンとこれらの症状を結びつける根拠が薄いことはわかったうえでの発表だと思いますが、それなのにまるでHPVワクチンそのものが多彩な症状を呈しているかのように発表していらっしゃる。これは良くないことだと私は思います。


例えば、このようなスライドがあるのですが、
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右側の「多彩な症状に対する適切な診断がされない不安、緊張」が「高次脳機能障害」を引き起こす、という点は(本当に脳が変化しているのか器質的な変化のない機転なのかは別にして)あり得る視点だと思います。また左側には「接種に伴う疼痛」から「自律神経障害」に矢印がつながっていますが、これもあり得る話ですが、もしそうならばHPVワクチンそのものには関係のない、注射という処置そのものによる副反応であると言えるでしょう。中央の「関節炎」に関しては、根拠が示されていません。


これが、次のスライドになると、
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これらの症状がHPVワクチンによる副反応であるとされています。あれ、何かここのつながりを示す根拠、これまでに説明されましたっけ?なぜこんな話のつながりになるのか、私にはわかりませんでした。


次に症例提示。症例1は起立性低血圧(OD)、とくに体位性頻脈(POTS)と診断された症例です。これは本当によく見られる症状でして、たまたま接種後に発症しただけのように思われます。このような発表をするわけですから、何か「そうではない根拠」「HPVワクチンとの関連を示すような根拠」を示すのかとおもいきや、それがありません。
以下、自律神経障害、多発性関節炎、高次脳機能障害、と症例がつづいていきますが、とくにそれらがHPVワクチンの副反応であると考えた、その根拠は示されません。それでいて、ステロイド投与、免疫抑制剤、血液浄化療法などと、かなり治療としては重い副作用を伴うものを実施している施設もあると発表されていて、これは・・・医師の道からはみ出てる・・・のでは・・・。


そしてこのスライド
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おそらく、「偶発合併症っていうけど、HPVワクチン後にはこんだけ発症してるよ」、と言いたいのかなと思います。ですが、この文献(JAMA. 2009;302(7):750-7, PMID:19690307)を参照しますと、

Postlicensure safety surveillance for quadrivalent human papillomavirus recombinant vaccine. - PubMed - NCBI

結論のとこに「VAERSのデータでは、これら副反応の発生率は他のワクチン接種後と大差ないよ。ただし失神と静脈塞栓(?)は多いかな」と書いてあります。スライドには膠原病、GBS、横断性脊髄炎の発生がHPVに関連して発症しているように書かれていますが、他のワクチンと大差ないということはつまり、HPVワクチンに特別にこうしたリスクがあるとはいえない、ってことです。一般の人は元の文献まで見ないだろう、と思ったかどうかわかりませんが、私はこれもよくないと思います。

これらの症状を呈しやすいHLA型(白血球の型)があるのではないかという部分

特定のHLA型においてある病気(主に自己免疫疾患)が多いということはよく知られたことですから、HPVワクチン後の症状の原因として自己免疫を疑ったことでHLA型との関連を調べるという着想になっているのだと思います。実際に症状をうったえる患者さんでHLA型を調べてみたところ特定の型が多かったですよ、というのが以下のスライドであります。

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例えば、白血球のDPB1という遺伝子座に05:01というタイプを1つでも持っていた人が、14例中10例(71%)であって、実際には遺伝子ですから一人2つずつ持っておりますから、全体の数でいうと観察された遺伝子のうち46%がこの05:01タイプであったということのようです。一般日本人ではこの遺伝子は38.4%に認めますから患者に多いですね・・・って、ええっ?

たかだか10例の検索ですから、これで「多い」とはいえないことは容易におわかりかと思います。偶然かたよることもありますし、遺伝子座はたくさんありますから、ひとつひとつ見ていったら患者群にたまたま多かったタイプも見つかることでしょう。もっと症例数が多ければ違いを見出すことも可能でしょうが、10例20例では無理でしょうね。
しかもこのタイプは東アジアでは最多みたいです。私はこの発表会に参加したわけではないので実際の発表を聞いておりません。ですから、発表者がこのデータをもって「発症者にこのタイプが多い」と言ったとは思えない、さすがにそんなこと言わないだろうと思うわけですが、そういう内容の報道もあります・・・。

脳機能障害、患者8割が同じ遺伝子(毎日新聞 2016/3/16)
http://mainichi.jp/articles/20160317/k00/00m/040/109000c


2016/3/18 13時時点のキャプチャです。強調は私がしました。

毎日新聞のこの報道は一般日本人38.4%のところ患者71%だった、と誤解されてると思うのですが、どうでしょうか。上記のようにこの71%は保有率であって、一人2つ持ってるなかで1つでも対象の遺伝子だった割合を示しているのだと思います。遺伝子の数でいうと、割合は46%です。これと38.4%を比較すべきではないですか。この点はたぶん毎日新聞さんの誤解だと思うのですが、それにしても、そもそも日本人の遺伝子の4割はこのタイプなわけで、絞り込みにもなりません。これがもし本当だったとしても有意義だとは思えず、研究姿勢としても疑問です。

モデルマウスの作成

マウスとヒトは同じ哺乳類ですが、マウスの病態はそのままヒトに当てはめることはできません。大きく異なります。という話かとおもいきや、このマウスはノックアウトマウスで自己免疫疾患を生じやすい奴なんですね。これで自己抗体が産生され海馬から検出されたからといって何かを言って良いのでしょうか。
HPVV報道のNF-κBp50 欠損マウスの解説 - Togetterまとめ

いやまあ参考にはしますが、大きくニュースにしたり政策立案の参考にするレベルではありません。しかもサーバリックスしか投与されていませんがガーダシルはどうしたの?投与はきっとしたんだと思いますが、比較のワクチンも3種類しかないし他のワクチンはどうなの?目立つとこだけ残してデータ削ってないか、ちょっと疑っちゃうんですよね。本論文には全部かいてあるんでしょうか。

牛田享宏先生のグループの発表はどんな感じなの?

なぜ池田先生のほうの発表ばかり報道されるのか全くわかりませんが。
器質的な明確な原因がない痛み(機能性疼痛)について考えようよ、という話です。

牛田先生の発表スライド
http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10901000-Kenkoukyoku-Soumuka/0000116635.pdf

それは何らかのきっかけ(組織障害、神経障害、それは注射の痛みかもしれません、きっかけは無いかもしれません)があって悪循環に陥ると、実質的な障害がなくても脳が不快な物質を生じ、痛みを感じることがあるのだと、もちろんそれは本人にとっては現実の痛みであって、気のせいでは無いのだと、そういうお話です。そのものずばり、「脅迫的な情報、例として、「この痛みは●●が原因で重症化します」というもの」も悪循環の原因として挙げられています。

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思春期の子どもたちはこのような器質的要因のない痛みを訴えることが(HPVワクチン導入より前から)よくあります。実際に慢性的な痛みを感じている子供が中学生の20%前後にみられたという調査結果も示されます。環境要因もあり、ストレスとの関連も示されます。別に強引な論ではなく、正直、小児科医の立場からしますと、まあODの子もPOTSの子もよくみますし、痛みを伴っていることもよくあります。まあそうですよね、ふつうに考えると、という感じで、牛田先生グループの意見に賛成、といった状況であります。

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報道が加害者となる可能性について

たとえば、WHOは自殺のニュースについて、「センセーショナルに扱わない」「目立つところに掲載しない」「過剰に報道しない」「詳しい情報を伝えない」など、慎重な対応を求めています。

内閣府:自殺予防 メディア関係者のための手引き(2008年改訂版日本語版)
http://www8.cao.go.jp/jisatsutaisaku/link/kanren.html

HPVワクチンの副反応が疑われる事例についても同様です。牛田先生のスライドに示されていますが、痛みの悪循環を回す要因には「恐怖感」「警戒心」もあるわけです。簡単に省略して言ってしまうと、HPVワクチンの副反応が(実態以上に)喧伝されればされるほど、痛みの悪循環に陥る子どもが増えていってしまうわけです。

もちろん、大部分が器質的に異常のない疼痛だろうと思われても、一部の症例にHPVワクチンを原因として器質的変化が起きている可能性は、あります。可能性を否定することは未来永劫できません。そこに可能性があれば報道するのは報道機関の習性としてやむを得ないのかな、と思うのですが、「実態を超えて恐怖を煽る」「主流の意見をあえて報道しない」「恐怖を伝えるだけでそれが非常に稀であることを伝えない」「実際に痛みがでたらどうしたらよいのかを伝えない」といった対応は好ましくない、というか良くない、というかそれはもう加害者だろうと思うわけであります。

この点は牛田先生のスライドにも現れています。
この発表では、HPVワクチンそのものの副反応による疼痛の存在を否定していません。何事も可能性をいうことは簡単、否定することは難しいからなのですが、
一方で例えば、HPVワクチンの副反応に伴う疼痛に悩まされている、と認識している児がいたとしましょう。私たちはこの子に、「それはHPVワクチンの副反応ではない」とはふつう言いません。なるほど、そういうこともあるかもしれない、まあ無いかもしれないけどそれは置いておいて、とりあえず痛みをコントロールして、まあまあ良い状態で生活できるようにしようぜ、とお話します。得てして親御さんのほうが原因究明に躍起だったりしてそれが痛みの一番の原因だったりしますが、本人にとっては痛みのコントロールが第一です。

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名古屋市で行われたアンケート調査でも、接種群、未接種群で、未接種群のほうが症状が多かったりしましたが、
「個々の事例の因果 関係については慎重に判断する必要」という一文が、この問題を繊細に扱う必要があることを表しています。


最初に本人の思いを肯定してしまうと、より悪循環の深みにはまる誘因となります。逆に否定してしまうと、その子は二度と病院に訪れてくれないかもしれません。だから原因はとりあえず脇において、痛みのコントロールから入ると思います。そのあたりの配慮もされているんじゃないかなあと思いました。

私の意見

池田先生のスライド
・多彩な症状があるのはわかったけど、それHPVワクチンと関係無いんじゃない?そこの根拠ありますか?
・そのHLAタイプ、もともと日本人に多いタイプだし、一般日本人と患者群で発現率変わんないし、更に調べるんですか?
・あと毎日新聞はデータの解釈間違ってる?かな?
ノックアウトマウスで自己抗体が海馬に付着している。うむ。それをもとにヒトの政策立案したら、10段階ぐらい飛ばしてるよね(さすがに池田先生はこんなこと言ってないと思う。報道の空気がこれ)。

牛田先生のスライド
・いちおう小児科医の大多数99.9%くらいの意見はこんな感じだと思います。これも報道してほしいんだけど。

報道に対して
・センセーショナルな報道やめてください。それだけで患者数が増えるし余計に患者が見えなくなるんじゃ。あと勘違いが多分に入ってると思う。

私の意見2

慢性的な症状を呈している子どもたち、といっても、回復している方々も多いと思いますが、いま症状が続いている人たち。
HPVワクチンの副反応「ではない」ケースが含まれる、そのようなケースのほうが多い、のではないかと推察いたします。
いまは一部の医師に囲い込まれてしまって、我々にも実態がわかりません。
一部の医師は効果も副作用も未知の投薬を行っています。全体が公表されていないので今のところ評価すらできません。
そのような人たちがメディア報道によってさらに増加し、悪循環に陥ります。
とても不幸なことに思います。

もちろん、そこには本当にHPVワクチンの副反応の人も含まれるかもしれない。
しかし現状では検証が進まないです。なぜなら、本当は副反応ではない人たちが研究対象に多く含まれていたら、有意義な検査方法も治療効果の判定も、症例の紛れのなかに埋没してしまうからです。
インフルエンザの治療について研究をするのに、ウィルスの検出について考えないでほとんどが風邪の人たちを対象に研究したり、しないでしょう?
これも不幸極まりないことです。

また、将来、子宮頸癌で命を落とすであろう人たち。
ワクチンで防げたであろう手術を迫られる人たち。
いま、その未来の被害者に手を差し伸べられる方法がでてきたのに、どんどん延期されている状態です。
そもそも、子宮頸癌の検診頻度を上げなければならないならそのこと自体も幸福ではありません。
本当に、いまのHPVワクチン副反応の頻度は、将来の死亡者を増やしてでも、ワクチン実施に待ったを掛けなければいけない状態ですか?そこまでの状態が、池田先生のスライドから読み取れますか???

政策の立案には、この3つを全部視野に入れる必要があります。
現在症状を呈している人たちを重要視して、将来子宮頸癌で命を落とす人を軽視するのは、私には矛盾して見えます。
(HPVワクチンが子宮頸癌を減らすことは直接観察されていないって?前癌病変が減る段階で十分な検証だし、そもそも前癌病変が減れば検査手術も減るのだから、それだけでも十分幸福になるじゃないか)

発表が自由に公平に行われることには大きな意味があります。
このような記事による他者の発表の自由な吟味にも、同じように意味があることです。
そのうえで、落ち着いて情報を判断して精査に反映されるよう、落ち着いた目で議論を眺められるよう、みんなが意識しないといけませんし、とくに報道は重要です。
報道が加害者になる可能性を十分に考慮してください。平等で、疫学的根拠を踏まえた、皆が幸せになる方向の報道をしていただきたいと思っております。