simbelmynë :: diary

小児科医療 & 趣味はコンピュータいじりです

感染症

HPVワクチンの副反応?に対する報道(2016/3/16)についての物言い

(いろいろと読み解いてみましたが、もし間違いがあったら指摘してください!)2016/6/21追記この記事を書いた時はかなり慎重な態度をとりました。池田班の発表はスライドを見る限り信ぴょう性に乏しいのですが、断言はしませんでした。また、統計の誤りにつ…

ノロウィルスの迅速検査は必要か(いや必要ではない)

反語タイトルばかりですが。流行していますね、ノロウィルス感染症。今年は変異したノロウィルス(GII-P17.GII-17)の流行ということで、予め大規模な流行を予測して病院内に警告を発しておりました。今のところ、当院の地域では例年通りの患者数と思われま…

B型肝炎ウィルスのワクチンを乳児に接種する必要性は十分にあるか?

多くの小児科医はHBVワクチンをぜひ接種して欲しいと願ってはいますが、この記事を書いている2015年11月現在、B型肝炎ウィルス(HBV)の予防接種を乳児期に接種するかどうかは、ご両親にとって悩ましい話だと感じられるかもしれません。我々の施設では、小児…

チメロサール含有のワクチンは避けるべき?

先日、小児科外来に来られたお母さんに、「この病院で使用されているインフルエンザワクチンは、どこのメーカーのものですか?」と、聞かれました。とても注意深いお母さんだな、と思いました。おそらく、保存剤として使用されている水銀(チメロサール)を…

DRPMを肺炎につかってよいか論争を脇からみていたまとめ

フィニバックス(DRPM:ドリペネム)を肺炎につかってよいかという議論が某MLで盛り上がっていました。 きっかけは米国FDAが「いかなる肺炎にも使用を承認しない」というコメントを2014/3/5に出したことでした。そもそもフィニバックスというかカルバペネム…

感染制御のお仕事のお話

なかなか小児科医がこういう仕事をするのは難しい。 CA-MRSA菌血症 主治医 VCMで 俺 いやTEICのがいいです 主治医 いやVCMで 菌血症持続 感染性塞栓疑い 腎不全 俺 TEICかDaptで 主治医 LZDがいいな 俺 LZDだけはだめ 主治医 LZDでいくわ— simbelmynë (@simb…

手洗いと手の消毒は、ライノウィルス感染による感冒を防がない RCT

A randomized trial of the efficacy of hand disinfection for prevention of rhinovirus infection. Clin Infect Dis. 2012 May;54(10):1422-6 Turner RB et al. PMID: 22412063 背景: 感冒(この文献ではライノウィルス感染症にフィーチャー)を予防する…

ラテンアメリカにおけるロタワクチン 利得は腸重積リスクを上回るか?

Potential intussusception risk versus benefits of rotavirus vaccination in the United States. Pediatr Infect Dis J. 2013 Jan;32(1):1-7 Desai R. et al. PMID: 22929172 1999年に発売されたロタウィルスのワクチン「ロタシールド」は、接種後の腸重…

「アメリカ小児科学会 小児急性細菌性副鼻腔炎ガイドライン2013」概訳、「日本鼻科学会 急性鼻副鼻腔炎ガイドライン2010」との対比 (5)補助治療編

(1)診断編 (2)画像検査編 (3)治療判断編 (4)抗菌薬編 (5)補助治療編(←今ここ) 補助治療について、以下の項目について言及されている。 点鼻ステロイド 食塩水洗浄 局所または経口の充血除去薬 去痰剤 局所または経口の抗ヒスタミン薬 点鼻ステロイド: 炎…

「アメリカ小児科学会 小児急性細菌性副鼻腔炎ガイドライン2013」概訳、「日本鼻科学会 急性鼻副鼻腔炎ガイドライン2010」との対比 (4)抗菌薬編

(1)診断編 (2)画像検査編 (3)治療判断編 (4)抗菌薬編(←今ここ) (5)補助治療編 抗菌薬の第一選択はAMPCあるいはAMPC+CVA。(Evidence Quality: B;Recommendation) 注:AMPCは、日本の商品名で言うと「サワシリン」「パセトシン」「ワイドシリン」他いろいろ…

「アメリカ小児科学会 小児急性細菌性副鼻腔炎ガイドライン2013」概訳、「日本鼻科学会 急性鼻副鼻腔炎ガイドライン2010」との対比 (3)治療判断編

(1)診断編 (2)画像検査編 (3)治療判断編(←今ここ) (4)抗菌薬編 (5)補助治療編 ABSのうち、「重症」群と「悪化」群には、抗菌薬を処方すべきである。(Evidence Quality: B; Strong Recommendation) ABSのうち、「持続」群では、抗菌薬を処方するか、3日間の…

「アメリカ小児科学会 小児急性細菌性副鼻腔炎ガイドライン2013」概訳、「日本鼻科学会 急性鼻副鼻腔炎ガイドライン2010」との対比 (2)画像検査編

(1)診断編 (2)画像検査編(←今ここ) (3)治療可否判断編 (4)抗菌薬編 (5)補助治療編 ABSとURIの鑑別を目的として画像検査を実施すべきではない(Evidence Quality: B; Strong Recommendation) ABSの診断は上述のようにURIに引き続く症状のパターンによってな…

「アメリカ小児科学会 小児急性細菌性副鼻腔炎ガイドライン2013」概訳、「日本鼻科学会 急性鼻副鼻腔炎ガイドライン2010」との対比 (1)診断編

Clinical Practice Guideline for the Diagnosis and Management of Acute Bacterial Sinusitis in Children Aged 1 to 18 Years. アメリカ小児科学会 小児急性細菌性副鼻腔炎の診断管理ガイドライン2013(以下AAP2013) 長くなったので5編に分けます。 (1)…

僕達の失敗:10価PCV+NTHiワクチンはNTHiの「保菌」に対しては効果なし

Haemophilus influenzae(Hi)は、気道感染を引き起こす細菌の一つである。 ややこしいけど、インフルエンザの病原体ではない、ということは、さすがに結構みんな知ってるようになった。 莢膜型というものでa~fに分類されており、Hia, Hib・・・などと呼ばれ…

重症敗血症に対するβラクタムの持続投与(多施設ランダム化二重盲検)

βラクタムの持続投与が間欠的投与より有効かどうかは流行の話題。 βラクタム系は現在最も一般的で、そして成功している、抗菌薬の一群であり、ペニシリン、セフェム、カルバペネムを含む総称である。 βラクタムのばあい、血中濃度が起炎菌のMIC(最少発育阻止…