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文献:ワクチン(筋注)接種部位と局所反応

 

Vaccination site and risk of local reactions in children 1 through 6 years of age.

Pediatrics. 2013 Feb;131(2):283-9

PMID: 23319538

 

 

1歳以上の140万人に対する600万回の接種を対象としたコホート研究。ワクチンの種類はインフルエンザ、A型肝炎、DTaP。

 

インフルエンザとA型肝炎は局所反応が比較的弱く、接種部位による差を認めず。

 

DTaPは比較的反応が強く、腕に接種した場合に頻度が上昇する。12~35ヶ月で相対危険度1.88(95%CI 1.34-2.65)であった。3~6歳では1.41(0.84-2.34)であり、それ以上の年齢でも差は無かった。

 

結論:3歳未満のDTaPは腕ではなく大腿への筋注を推奨。

 

※筋注での評価であることに注意。よく言われることだが、皮下注しているのは日本だけである。

日本では筋短縮症が社会問題となった経緯から筋注はほとんど為されていないが、これは過去の製剤(抗菌薬や鎮痛薬)の筋注による事象である。現在の不活化ワクチンであれば、筋注したほうが、効果が得られやすかったり、副反応が少なくて済むことが予想される。

この文献においては、筋注は当然の前提条件であって、さらに腕よりも大腿のほうが副反応が弱く済む可能性があると指摘している。

 

※筋注限定のHPVワクチンでは迷走神経反射による失神までもが問題化するくらいなので、日本人のリスク過敏症は何事につけても大きな壁だとは思う。が、今後他の不活化ワクチンについても、筋注の検討が進むことに期待したい。