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simbelmynë :: diary

小児科医療 & 趣味はコンピュータいじりです

文献:RSウィルスと早産児の反復性喘鳴

文献

Respiratory syncytial virus and recurrent wheeze in healthy preterm infants.

N Engl J Med. 2013 May 9;368(19):1791-9

PMID: 23656644

 

※注意

この研究は、Netherlands Organization for Health Research and Developmentとともに、アボット(シナジス(R)販売元)の資金も入っている。

 

RSV感染は反復性喘鳴と相関している。

早産児において、RSVが反復性喘鳴の原因となるのか、あるいは、早産のための肺の脆弱性が先にあって、RSV罹患が初めての喘鳴になる事が多いのか、という点はわかっていなかった。

 

 

二重盲RCT(MAKI trial)で、429の健康な33~35週早産児を、パリビズマブ(シナジス(R):RSV特異的モノクローナル抗体)投与群214例と、プラセボ群215群に割り当てた。

 

パリビズマブ群では、出生後の一年間のうち、喘鳴のある日が61(56-65)%減少。具体的には、パリビズマブ群では930/53075日、プラセボ群では2309/51726日であった。

反復性に喘鳴を認めた児の割合は、パリビズマブ群で有意に少なかった(11% vs 21%  P=0.01)。

 

パリビズマブは、生後一年間の喘鳴を著減させた。パリビズマブ投与中(RSV流行シーズン)だけでなく、投与終了後生後1年までの喘鳴回数も減少している。

 

RSV感染は、早産児において、生後1年間の反復性喘鳴のメカニズムに重要な役割を持っているのではないか。

 

 

 

 

※コメント

気管支喘息」についての議論だと、単純に言うと、

     1:RSVが気管支喘息発症の引き金なんだよ、派と、

     2:もともと喘息素因のある患者で、RSVが重症化するんだよ、派があって、

 

この議論では2が優勢なんじゃなかったっけ?、と、記憶しているのだけど・・・。

 

この文献では、気管支喘息ではなく、「早産児の反復性喘鳴」とパリビズマブの関係、つまりRSVとの関係について考察し、パリビズマブによってRSV感染を防御すると、反復性喘鳴そのものを減少させたという結論であった。

 

しかも、パリビズマブ期間終了後も反復性喘鳴が少ない。RSVは「反復性喘鳴のメカニズムに重要な役割を担っている」、つまり、「1:RSVが早産児の反復性喘鳴の引き金の一つなんだよ」派の主張、と思われる。

 

もし、「2:早産児という肺の脆弱性がある児において、最初の喘鳴のエピソードがRSVであることが多い」、というだけのことならば、パリビズマブ投与期間が終われば、反復性喘鳴の頻度は増えて、プラセボ群に追いついてゆくはずだからである。

 

(解釈、あってるかな?) 

 

うーむ。RSVを反復性喘鳴の原因として特別視するより、「早産児では、呼吸器感染症で肺の脆弱性が悪化しやすい。しかも早期の感染ほど影響は大きく、早期の感染は多くがRSVである」という話のような気もする。ちょっとデータの解釈が難しい。

RSV予防処置の重要性には変わりがないけれど。

 

うーん、もう強い根拠がないと結論出せないな。